題数指定打ち

現行珠規の問題

♠ 現行珠規では、次の手順で対局しています。

  1. 提示・選択打ちにより、黒白を決定する
  2. 黒になった対局者は、五珠2ヶ所打ちをする

♠ この珠規では、黒白互角の珠型を示すことが提示者の基本方針になります。選択者が黒と白のどちらを選んでも、それで互角の勝負ができると考えられたのですね。


♠ 研究が進むにつれ、互角と言われてきた珠型も一部の珠型は黒か白が若干よしとされるようになります。そして現在では、次のような状況に陥ってしまいました。

特定の珠型しか提示されなくなった

♠ 具体的には、次の3珠型が全対局の70%以上を占めている状況です。

疎星
松月
瑞星

♠ 特定の珠型しか打たれない状況では、黒白互角を目指して導入された26基本珠型も形骸化していて、単なる研究材料でしかなくなっています。打たれる珠型がいつも同じだと、将来の行き詰まりも簡単に想定できるでしょう。

妙案

♠ 提示・選択打ちでも、提示者と選択者の不均衡を完全に払拭することはできませんでした。この状況に対して、2002・2003年度の連珠名人が提案したのが、題数指定打ちです。

♠ 題数指定打ちは通称で、正式称は次の通り。

珠型五珠題数提示選択打ち

♠ 世界では、Yamaguchi Rule と呼ばれているようです。


♠ 提示・選択打ちの問題点は、五珠の題数を全珠型一律で2題とした点にありました。この方法だと、珠型ごとの黒白の差を一斉に互角にできないことはすぐに判明します。なぜなら、全珠型には初めから黒白の有利不利がついているからです。

珠型グループ有利・不利
珠型そのもの五珠2題打ちにした場合
A黒がかなり有利黒がまだまだ有利
B黒がやや有利ほぼ互角
Cほぼ互角白がやや有利か互角
D白が有利白がかなり有利
E白がかなり有利白が圧倒的に有利

♠ この珠型毎の不均衡を、五珠の題数で調節してやるのが、題数指定打ちの主眼です。


♠ さて、五珠題数が増えると、白番の人はその五珠群から白にとって一番有利なものを指定できます。黒が五珠目に打つ題数が増えるほど黒の有利が減っていくのがわかるでしょうか?

♠ 五珠を一ヶ所だけ打つ珠規では、黒が必勝手順がある五珠を打てます。しかし題数が増えると黒番の人は、必勝手順のない五珠や黒がすぐに勝てない五珠も打たなければならなくなるのですね。

珠型グループ珠型の有利・不利五珠題数
A黒がかなり有利4以上
B黒がやや有利3
Cほぼ互角2
D白が有利1
E白がかなり有利

♠ 黒が有利な珠型なら、黒五珠の題数を多くすると黒の有利さは減ります。

♠ また、白が有利な珠型では五珠2題打ちではなくて五珠1題打ち(つまり、五珠自由打ち)にすることで、白の有利さを減らせるというわけです。


♠ この方法なら珠型毎に黒白の差があっても、五珠題数を珠型毎に変えることでほとんどの珠型を黒白互角にできるのがわかるでしょうか?


手順

♠ 具体的には、次の手順で行います。

  1. 対局者のひとりを提示者、もうひとりを選択者と決める (※これは抽選で好い)
  2. 提示者は、次のふたつを盤上に提示する
    1. 珠型
    2. 黒になった対局者が、五珠目で打つ題数
  3. 選択者は、提示された内容を見て黒で打つか白で打つかを選ぶ
  4. 黒か白かが決まったら、白番になった人が白4を自由に打つ
  5. 黒の対局者は、示された題数分の五珠を打つ
  6. 白の対局者は、黒が打った五珠の中から一珠を選んで黒に打たせる
  7. 白6以降は、黒白自由に打つ (※黒には禁手がある)

♠ 次の盤で、空点を左クリックすると、一手ずつ説明が出ます。

改良点

♠ 題数指定打ちは、次の点で優れています。(※後日に詳しく解説します)

  1. ほとんどの珠型が黒白互角になるので、特定の珠型だけを打つ状況を改善できる
  2. 五珠の題数を調節すると、ハンデが容易につけられる
  3. 以前の珠規を内包しているので、過去の研究がそのまま使える

展望

♠ この珠規は、現在世界各地で試験的に実施されています。世界のトッププレイヤーに抵抗無く受け入れられているので、次世代の公式ルールになる公算は高いでしょう。

2004/02/26